アフリカ大好きマルチリンガル・りさぴょん(@LisapyonKenya)です。
【孤児院への支援は危険?】シリーズ第5回目は、ではなにをする?です。
孤児院支援がさらなる、子どもケアの施設化を促進させてしまい、子どもが不要に施設にいるようになってしまうというお話でした。では、子どもをどうやってケアしていけばいいのではしょう。保護者にネグレクトされた子どもが家庭ケアを受けるってどうやって?
シリーズの記事はこちらです。
【孤児院への支援は危険?】第1回子どもがケアを施設で受けるとどうなるか。
【孤児院への支援は危険?】第2回実例。ジェーンのケース。
【孤児院への支援は危険?】第3回どうやって子どもは孤児院にきたか。
【孤児院への支援は危険?】第4回海外孤児院ボランティアの危険性。
目次
英語では、子どものケアを施設に依存しない脱・施設化をDe-Institutionalizationと呼びます。
はい、みんな発音してみて、
「ディ・インスティチューショナライゼイション」
大学院のプレゼンで何度も噛みました。なので、短くDIと呼びます。
そして、DI(施設から脱却して)をして、
Alternative family care(家庭での代替ケア)を推進します。
保護者と一緒に住むことが難しい子どもが、家庭ケアの中で育つことを目指します。
えっ?家族と住めないのに家庭のケアを提供するって矛盾してないか?
ケニア政府が2014年にユニセフと出した家庭ケアを推進するために発行したガイドラインを参考に考えましょう。
望ましい子どものケアの形態とは?
このガイドラインによると子どものケアとして、望ましいのはこの優先順位です
1. 保護者からのケア
父親・母親だけでなく叔父叔母や祖父祖母が保護者として、永続的にベーシックニーズを提供できる環境です。ベーシックニーズとは人間生活にとって最低限かつ基本t系に必要とされるものです。衣食住・水・衛星・健康・健康が入っていきます。
2. 親族の養子縁組・里子
父親・母親が育児をできない場合、親族が代わりに保護者となることが優先されます。
たとえば母親からの虐待により、一緒に住むのが難しい場合は、一時的に祖父と祖母が預かるとします。その場合、児童相談所を通して裁判所が認めた場合、正式な保護者になります。だいたいのケースは正式にケニアの裁判所からのオーダーをもらうことはあまりないです。
ケニアで・ウガンダで、親族内で養子縁組を組む場合は、その子どもに財産を残したい等の理由があります。
3. 第三者による里子
保護者が育児をできる状態になるため、一時的に里親に預けるケースが、日本ではお送ります。残念ながら、ケニア・ウガンダではこの制度がありません。ルワンダはDI先進国なので、短期的に子どもを預かるときも、施設ではなく、研修を受けた登録された里親さんを活用することを進めています。
日本では子育てに疲れて虐待をしてしまったお母さん・お父さんに少し休憩と距離をあげるために利用されることもあるようです。
数週間や 1 年以内など短期間委託するなど、ニーズに応じた多様な里親委託ができます。
ケニア・ウガンダでは里子をしてくれる人に政府から補助金を出るような制度もなく、親族以外の子どもを預かって面倒を見るのはあまりないです。しかし、一緒に住んだりはしていないが、たまたま知り合って、教育費だけ払ってあげているというなケースはあります。
4.第三者による養子縁組
アフリカでは、今まで至って普通に”里子”や”養子”を行ってきました。孤児いれば、周りの家族が育てたし、家族自体が10人とか大きかったため、そこにひとり増えても大丈夫な住まいだったり、農業で食糧を確保できていました。それに養子や里子という名前がついていなかっただけです。しかし、アフリカも日本のように核家族化が急速に進んでいます。田舎の大きい敷地に、息子夫婦たちが暮らしているという光景はもちろん今ではありますが、若者が職を求めて、都市に移り住むことは一般的です。また、アフリカでは「結婚をしない」「子どもを産まない」という選択肢は、日本以上に受け止められていません。現在では、日本のように、政府が作った法律に基づいた制度で、養子縁組(Adoption)が行われています。
実際にケニアの児童局でボランティアしていた時に子どもを養子にとった女性に会いにいきました。児童局は裁判所から、定期的に家庭訪問するように指示が出ていたからです。ケニアの裁判所はかなり適当なので、ちゃんと指示が出ていて、逆にびっくりw
家庭訪問してみると、広大な紅茶の土地を持つ比較的裕福そうな女性でした。彼女は結婚したものの、子どもを授かる前に夫を亡くしてしまったそうです。親から受け継いだ土地もあるし、世間体もあるので、子どもがほしいと養子に申し込みました。なんとなく養子について知っていて、児童局に問い合わせをしたそうです。
ケニア・ウガンダでは比較的に裕福な人が、世間体や相続のために養子を選ぶ人が多くいます。子どもを授かることができなかったカップルが養子組をあっせんする乳児院を訪れてたりしています。
5.短期施設ケアの利用
児童養護施設(Children's home)とは別にレスキューセンター等の名前で短期的に子どもを預かって、家族に引き渡したり、養子を探したり、施設に引き渡す施設もあります。ケニアでは政府が3か所のレスキューセンターを作っています。たった3つですが、全くないウガンダよりもマシかな。しかし、ケニアのレスキューセンタ^では、子どもが長期にレスキューセンターに住んでいるので、普通の児童養護施設と変わらないという残念な状況です。なぜそうなるのか?
子どもの保護者を探して、説得して、受け入れてもらって、その後も家族のフォローアップ訪問をするというのは、かなり時間とお金がかかるんです。ソーシャルワーカーが雇われていますが、特別に家族カウンセリングや子どもの心理のプロではないし、ソーシャルワーカー1人が100名をRe-integration (家庭への再統合)をするのは無理なんです。
6.家族形式・小規模の施設ケア
児童養護施設(Children's home)はいろんな形式があります。
100名子どもがいて、大きな部屋が寮となっていて、二段ベットが平すらならべてあるような、乱雑として、子どもがプライベートが守れないような施設もあります。しかし、最近では、小さな部屋に小さい子子どもと大きい子どもを4~5人くらいにして、そこに世話をするケアテイカーがいあるような施設もあります。より、ケアテイカー1名に対しての子どもの数が少ないケースです。
グループホームですら批判的な意見ももちろんあります。所詮施設ケアでいくらスタッフと信頼関係を築いても、18歳になれば施設を離れないといけません。
子どもが育てることが難しい家庭を支援することで、施設に入ることを未然に防ぐことが大切です。また、一時的に施設に預けられたとしても、家庭が子どもを安心して育てられる環境を作ることが大切です。
しかし、保護者と子どもの関係がうまくいなかったり、保護者に養育能力がない場合は、代替の子どものケア(Alternative care)が必要です。
今日は制度的にどんなケアがあるか紹介しましたが、やはり、子どもとその家庭によって、提供するケアをオーダーメイドで提供しなければ、なりました。
アフリカではとうていできる財力も環境も制度も法整備も人材も不足していると、言わざるおえない。
どんなケアを提供することが子どもに必要か。それに対して自分はどんな支援をできるか考えるといいと思います。
私は無駄に子どものケア施設化を進めていない施設であるモヨチルドレンセンターや家族ケアをするために一時的に保護することを目的としたMacho children's homeを支援しています。
この2つの施設については今後紹介しますね!